2024年1月28日、涙で溢れた瞳越しに長く伸びた野音の舞台から零れ落ちる照明の光をこの先の人生の中で何度思い出すのだろうか。
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この日を指折り数え、前日は小学生の頃の遠足の前の日のような(わたしは遠足の前に眠れないタイプの子供だった)どきどきとわくわくで布団の中の特有の温度に包まれていた。
当日の朝、昨日の夜のぬくもりとは違う温度と耳に優しくない目覚ましの音に、これまた昨日の夜とは違ったどきどきとわくわくを布団の中の腕いっぱいに感じていた。
グッズを買う列で待つとき、木の茂み越しの野音からメンバーたちのリハーサルの声が聴こえてきて、ふふと笑ったり、いっしょに音楽に揺れたり、あまりに寒い4時間の待ち時間のなか、ほかほかした気持ちが芽生えていた。(それでもとても寒かった)
ライブが始まる直前、どきどきもわくわくもほかほかもどんどんとまたさっきまでとは比べ物にならないほど大きくなって、それは心地良いものだった。
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ライブが始まって、終わるまではまさに一瞬で、でも何故だか永遠のような時間だった。
メンバーたちから私達は直接聞くことはないけど、どんな夜を迎え、乗り越え、どんな朝を迎えたのか。
想像でしか、彼らを「知る」ことはなくて、あるいは何にも「知らない」わけで。
でも、この夜だけは確実に「愛」だったと胸を張って精一杯の大きな声でいえる。
それを改めて感じさせてくれたあの最高のアンコールはもう二度と来ない。きっと、あの時の澄んだ匂いも忘れていってしまう。
だけれど、涙で溢れた瞳越しに長く伸びた野音の舞台から零れ落ちる照明の光をこの先の人生の中で何度だって思い出すのだと思う。
乗り越えようと足掻く夜に、乗り越えた先の朝に、いつだってまっすぐ伸びた眩しい光と彼らの手の先の景色がある。
1人の遊び人が「ここにいていい」と言ってもらえたと、「確かにここにいるんだ」と思えた大切でかけがえのない日比谷野外音楽堂での記録をここに。