この文章は、iOS/Android向けリズム&アドベンチャーゲーム「プロジェクトセカイ カラフルステージ」(以下、プロセカと記します)に出てくるキャラクターのひとりである「暁山瑞希」にフォーカスを当てたものです。
こちらはあくまで1人のファンによるひとつの解釈であり、公式ではございません。本作のネタバレを多分に含み、細かなセリフや話の筋に関しては記憶違いがある可能性がございます。その点をご考慮の上お読みください。
また、暁山瑞希(以下、暁山と記します)のジェンダー/セクシュアリティを定めるものではなく、暁山から感じたトランスジェンダーライツ/ノンバイナリーライツについて見つめたい!という目的と、性違和やジェンダーロールの違和を持つひとりのファンとして批評の試みのもと、記した内容となっております。
※書き手はトランスジェンダー差別およびノンバイナリー差別に反対しております。
1.「ただの」噂話は「ただの」ではない
暁山は中学時代また現在の高校生活を過ごす中で感じている居心地の悪さの理由の一つに、周りからの噂話があると言えると思います。
本作品のメインストーリー、サブストーリーを通して、何度も暁山へと受け取れる噂話を周りが話す様子が描かれています。
当事者である暁山にとっては、大変負担であると読み手が感じる描写が多く、また噂から生まれた無自覚な差別を間接的に時に直接的に暁山が普段から受けていると読み取れます。
悲しいことではあるのですが、クィア(ここではジェンダーロールの違和や性違和のある人)は定期的に無神経な好奇心が生まれた差別的な言葉を浴びせられることが多くあります。
暁山もそのひとりであるといえるでしょう。
一方で、暁山の周りの白石杏などの友人たちは「噂」の中の暁山を見ているのではなく「暁山瑞希」自身を見てくれていると言えます。
彼らは暁山にとってのアライであるではないか?と感じる場面や描写がたくさん散りばめられており、特に中学時代からの旧友である神代類は暁山が白石を中心とした仲間が学校でできたことに安堵する様子も見られています。
(アライ=英語のAllyを語源とする性的マイノリティを理解し、寄り添い、支援する人たち)。
2.カミングアウト(に準ずるもの)とアウティング
現在、暁山の所属する音楽サークル「25時、ナイトコードで」(以降、ニーゴと記します)のメンバーには暁山自身話そうかなと思う場面があるものの本人からのとくに開示はありません。
おなじくサークルメンバーの1人である東雲絵名が「(暁山)が言いたいタイミングがあれば…」と待っているというシーンで止まっており、暁山自身大切なメンバーたちへどう伝えるかや伝えないのかについては特に描かれておりません。
こちらは今後のストーリー展開を待ちたいところです。
ただ、ここで忘れずに、触れておきたいのは、暁山の近しい周りの人たち(ニーゴや学校の友人たち)が暁山へのカミングアウト(に準ずるもの)の強制性がないことと、アウティングがないセーファーな空間であることについてです。
正直、1章で触れた「噂」をしている人たちは暁山にとってセーファーであるとは言えないのですが、近しい周りの人たちは暁山にカミングアウトや本人の持つ悶々としているものを話すように強制することはなく、暁山のあるままを受け入れ、一緒に時間を過ごしている様子はまさに「アライ」であると思います。
(※カミングアウトは必ずしもしなくてはいけないものではもちろんありません)
3.大きな抵抗はちいさな抵抗からはじまる
昨年、ゲーム内にて行われたサンリオコラボにて、暁山のSNSのアカウントのアイコンだと思われるイメージが公開されました。
暁山の使用しているアイコンのデザインにはトランスジェンダーフラッグの色(薄いピンク、薄い青色、白)が使われており、初めて見た時「もしかして、トランスジェンダーライツでは、、?」となったのは言うまでもありません。
(※これは瑞希がトランスジェンダーであると確定づけるものでは全くないとわたしは考えています)
わたしは暁山への解釈で、少なくとも、暁山は暁山自身へ向けられるジェンダーロールの違和に悩んでるのではないかと思っています。
そこから、トランスジェンダーフラッグの色を使ったアイコンを使っているのは、まさにトランスジェンダーライツであり、ノンバイナリーライツであり、ヒューマンライツだといるのではないでしょうか?
また、暁山がどんなジェンダー/セクシュアリティを自認していたとしても、これは日常に溶け込ませた暁山なりのちいさな抵抗なのではないでしょうか?
最後に…
わたしはひとりのプロセカファン、暁山瑞希のファンとして、瑞希の言動からたくさんのエンパワメントされてきました。
その中で、何か暁山瑞希について書くことで、わたし以外の人たちもエンパワメントされたり、語ることができるのではないかと思い、今回書くに至りました。
正直、まだもっと書けるのではないかと思ってはいるのですが、一旦ここまでとさせていただきます。また、別の機会に深く掘った内容を公開できたらと思っております。
プロセカファンの皆様、暁山瑞希のファンの皆様、いらっしゃいましたら是非お話ししてください。
そこに「確かにある抵抗」として残します。